行動経済学の応用方法。2つの自己モデル編

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2つの自己モデルの応用例(随時更新)

この2つの自己モデル(以降、2自己モデル)を仮定することで、こんなことに応用できます。

※これらの例は私が思いつく例ですし、分からない人には分からない内容も含まれると思いますが、おそらくいくつかは分かるものがでるはずですので、それを参考にしてください。しかし、あまりにも詳しい内容はこの記事の内容からそれるため、紹介のみで。また、この例については随時更新していきます!

 

投機熱に浮かされた市場でのある銘柄の大まかな収益性の把握。

証券市場はしばしば、明らかに割高価格になっているような証券を買い続けるといった非合理的な動きをすることがあります。「少し前から価格が上がっているから買おう」という人の連鎖により、「投資が投資を呼ぶ」といった状況に陥ることに大きな利益を見出すことができます。利益の入り込む余地は以下の二つです。

  • どれだけの期間価格が上がっているか
  • どの時点から価格が継続的かつ急激に下がるか

これらを分析するために、2自己モデルを使い、どの程度のシステム1が働くかという自己理論によって判断すべきです。

 

市場が、景気の後退、または前進に気付くタイミングの把握による、ポートフォリオ構成をリバランスする時期の決定

景気の後退時は、非耐久財を扱う産業への投資ウェイトを下げるような戦略をとるべきだが、そのタイミングはいつか。市場参加者のシステム1の発現確率を何等かの方法(例えば標本調査)で調査し、自己理論としてリバランスのタイミングを調整する。それにより収益の効率化を目指すといった流れです。

 

貯蓄・節約

これを考える前に知っておくべき概念「時間的非整合性」について触れておきます。

人間には時間的非整合性があります。この用語、文字面は難しそうですがとっても簡単な概念です。

例えば、あなたは毎月1万円ずつ貯金してお金を貯めて一年後に12万円のギターを購入しようと考えていました。しかし、最近はまった雑誌が面白くて、月に9000円しか貯金できない状況になってしまいました。あなたは当初決めていた貯金額を達成できずに、結局溜まったのは10万8000円でした。結果ギターは買えませんでした。

 

このようにある時点で決めた計画というのは時間が経って変わってしまうことが多々あります。これが時間的非整合性という概念です。さて、これに2自己モデルが入り込むというのは直観的に分かりやすいところではないでしょうか。

具体的には自分の行動を観察することで、自分のシステム1とシステム2の発現比率を統計します。それに自分なりの修正を加えて、時間的非整合性を加味した計画を立てることができるのではないでしょうか。貯蓄や節約も今までよりも効率的になることでしょう。

 

さて、ここまでで2自己モデルの応用例をイメージしやすくなったのではないでしょうか。

2自己モデルはただのモデルである。

しかしみなさん、この2自己モデルにしても、結局のところ「自己理論」が大事なことに気付きましたか?

というよりも株式投資や事業、スポーツや料理にしても、最終的に行きつく先は自己理論です。大体、モデルというのは枠組みです。それ以上のものではありません。考える枠組みはこんなものがあります。それをどう使いますか?これがモデルの考え方です。公式のように、値を当てはめれば決まった答えがでることというのは、だれでもできることです。っていうかAIにやらせりゃいいことなんです。

結局のところその自分で組み立てた理論を使い、観察し、修正し、そしてまた使う。これによって生まれた周りとの差異のことを付加価値というのです。この付加価値の創造の繰り返しであなたの活動は周りと一線を置いたレベルのものへと昇華するでしょう。