【統計学】オタサーの姫は世界の姫なのか【標本調査】

【統計学】オタサーの姫は世界の姫なのか【標本調査】

みなさんこんにちは!「統計学なのにオタサーの姫??」なんて思った人も多いんじゃないでしょうか?しかし統計学というのは、こんな身近な例にだって使われるくらい応用の幅が広いものなんです!!!(強引)

そして、今回は以前に【統計学】心理学研究における最重要技術紹介した手法のうちの一つである、標本調査についてお話しします。そして今回は、標本調査方の一つ、ランダムサンプリング(無作為抽出法)について具体的な例証とともに見ていきましょう。

標本調査の意義

と、その前に、標本調査とはなんぞや、というところを話してからにしましょう。先に標本調査、ランダムサンプリングについての説明をした方が、格段に後の例証が分かりやすくなります。

まず、ある集団すべてに対して実験を行うのは困難です。お金も労力も時間もかかります。そのため、普通はその集団の特性を表しているであろう一定数を、集団全部集める代わりに、集めてきます。そしてこの選ばれた集団の一部のことを標本といいます。

この説明から何となく標本調査の意義がお分かりでしょうか。標本調査とは、ある調査を効率的に、また妥当に行うための手法なのです。

ランダムサンプリングについて詳しく

ランダムサンプリングとは、その名の通り、母数(調べたい集合全体)から標本を無作為に、つまり人間の意図などが入り込まないようランダムに取り出す方法のことです。ランダムサンプリングには主に

<コンピューターを使って乱数を発生させる方法>
コンピュータで乱数を発生させるコマンドを、Excelなり、Rなりの統計ツールで実行し、あらかじめ母数に振っておいた通し番号に一致した数を抽出する。

<乱数サイを使う方法 >
0~9までが書かれた正二十面体のサイコロ(乱数サイ)をじゃんじゃん振ります。数を組み合わせて通し番号と一致したものを抽出します。既出の数字や決めた標本数を超えるような数字は無視します。

といった感じです。

どの程度のサンプルサイズが必要なのか

これは、中心極限定理(大数の法則の進化版みたいなもの)に支えられているですが、それによると「十分に大きいサンプルサイズ」ということになります。それは例えばInvestropediaによると、「アメリカの株式数約3000銘柄中の30銘柄」ですし、例えば一般に証券の収益率の計算などは過去60か月の月次リターンを見るようですので、
「60/ほぼ無限の過去の収益率のパターン」

となります。つまり、幅を持って見積もっても大体50以上から100程度までのサンプルで良いわけです。

オタサーの姫の主張を論破せよ!!

具体的に、タイトルのような例を挙げてみましょう。

 

オタサーの姫が 

 

オタサーの姫

「私は世の中の男からモテモテよ!ブスス だって私のカードゲームサークルの男どもはみーんな私に虜なんだから(はぁと)」 

 

 

なーんて言ったとします。しかし、これはおかしいですよね。きっとそのオタサーの姫の顔やら服装やらはおかしいでしょうけど、統計的におかしい点は、「世の中の男がみんな姫のことを好きだという根拠に、そのオタサー内の男という標本しか示していない」という点ですよね。この標本では不十分な理由はいろいろ考えつくことでしょう。

挙げるなら「趣味趣向が似ているため共感から愛情が芽生えやすくなっている」、「単純に接触時間が長いため愛着が湧いている」や「あまり女に相手にしてもらった経験がないためチョーっと優しくされたらコロッといってしまう標本だった」、そして「世の中の男というには圧倒的に標本が少ない」などなどです。特に最後の理由はイメージしやすいのではないでしょうか?世の中の男が35億で、オタサーの男が5人だとすると、7億分の1の確率です。宝くじが当たるよりも、雷があなたに落っこちるよりも少ない確率なんですよ(笑)

1オタサーの姫の軽い発言にここまで徹底的に批判するのはなかなか大人げない気もしますが、とにかく、「世の中の男すべて」なんてことになれば、サンプル数(標本数のこと)もある程度大きくないといけない(大数の法則的に)でしょうし、年齢もショタからじーさんまで、文化が違えば趣向も違うでしょうから日本人からアフリカのどこかの種族まで様々なサンプルをとってこないことには世の中の男と同質であるとは言い難いでしょう。 

つまり、今回オタサーの姫は自分が世界のプリンセスだということを例証するために、世界中の男を無差別に襲い、小学生や中年のおっさん、さらにはもはやパワーなど残っていないだろう老人まで相手にし、そしてよく分からないダンスを踊るような種族ともコミュニケーションをとったのち、それらの標本に統計的に有意な恋愛感情を確認する必要があるのです。※統計学の説明です。 

 

それをオタサーの萌えブタのみで判断するなんて、笑止千万ですね。プリンセスになるためには、非常に厳しい調査を通り抜ける必要があるのです。そう、これがいわゆる「プリンセスの苦悩」というものなんです(←絶対違う)。 

まあとにもかくにも、こんな感じでオタサーの姫のみならず、テレビでやっているような調査や学術的研究まで色々批判できます。こういった教養を持つことで科学の世界はだんだん見えてくるものなのです。 

標本調査まとめ

標本調査の意義は調査の効率化と妥当性を与えること。 

ランダムサンプリングでは乱数を発生させて標本を抽出する。 

・「プリンセスの苦悩」は半端じゃない。 

といったところが本日のまとめでしょうか。多くの研究ではこの標本調査を抜きには始まりません。なぜなら、恋愛経験の少ない男性のみをものにしたからといって世界中から愛されるなんて論理はまかり通りませんから。今回のものは少し極端な例かもしれませんが、似たような「標本的に論理がおかしい」研究というのは意外に多いものです。これらに対する批判的な目を養うとともに、自ら使いこなせるようになることが役に立つ教養を身につけることに繋がるでしょう。