心理学部のための経済用語【行動経済学】

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なぜ心理学を学ぶのに経済用語を学ぶ必要があるのか

心理学はご存知の通り非常に他の学問と親和性の高い学問です。それもそのはず、心理学は生物が主体的に関連する見えないものならば何でも研究対象となるからです。例えば心なんてのは人の中にあると思われ、そして見えない概念です。行動だって見えません、一つの概念でしょう。ウイルスが関係しない病だって研究対象です。また、心理学の対象の生物の多くは人間であり、人間は経済活動を行う生き物ですから、当然経済学と心理学の親和性は高くなるでしょう。また、心理学部において経済学に興味がある人の多くは行動経済学という分野に手を付けるでしょう。行動経済学はかなり応用に着目した学問です。その応用先の多くは経済活動になるでしょう。そのため行動経済学を学ぶ人にはこの手の知識は必要不可欠なのです。

さらに言いますと、学生さんたちはいつになったらこの手の知識を獲得するつもりなのでしょうか。私の印象では学生の多くはこのような知識が皆無に等しい状態に思えます。社会常識レベルの知識も多く含まれるのでしっかり覚えましょう。

経済系の用語集

マーケット

市場のこと。自分が扱う対象により、証券市場や株式市場のことを表す。市場はスーパーマーケットのように具体的な売り買いの場を表すのではなく、財やサービスが売り買いされている状態のことをいう。

収益率

資産の上がり具合。儲けをパーセンテージで表したもの。$$収益率=\frac{期末の資産の値段}{期首の資産の値段}$$

プレミアム

付加価値のこと。いわゆる「プラスα」のような概念であり、何かの商品に対してさらに多くの、または大きな利得を表したり、同質の商品同士の差分を表したりする。

リスク

商品の値段の変動の大きさ。経済学、金融、投資、ファイナンスの分野では一般的に言われている危険の意味では使われず、このリスクの意味を表す。数学的に標準偏差で表され、σの記号で表記される。また標準偏差の2乗である分散も同様にリスクを表すことができる。同様にσ^2で表記される。

リスクプレミアム

リスク性資産と無リスク性資産のリターンの差。リスク性資産の期待リターンをr、無リスク性資産の期待リターンをfとすると、$$リスクプレミアム=r-f$$となる。

リスクフリーレート

価格が一定の商品の収益率。日本では主に10年物長期国債がリスクフリーレートとして扱われる。現在(2017/10/07時点)は-0.05%である。

マーケットリスクプレミアム

市場の収益率とリスクフリーレートの差分。$$マーケットリスクプレミアム=株式市場の期待収益率-リスクフリーレート$$の式で表される。マーケット(市場)のリスクプレミアム(リスクをとることによる付加価値)ということで、リスクをとったことによりどれだけリスクフリーレートよりも収益率が大きいのかを表す。

β(ベータ)

ある商品のマーケットの価格変動に対する感応度である。βの取る範囲は特に決まっていないが1の場合マーケットの価格変動と完全に連動する値であり、負の値はマーケットに対して逆方向に動くことを示す。1より大きい場合、例えば2の場合はマーケットが1%上昇した場合に、2%上昇することを示す。

インサイダー取引

企業の関係者からの、公開前の重要情報に基づいて投資をして、収益を得ようとする取引の事。根拠法は金融商品取引法。例えば、ある会社の重役がその子供に自分の会社が新規事業を行って、どうやらそれが非常に儲かりそうだと教え、その子供がその会社の株式を買った場合、これはインサイダー取引に当たる。金融商品取引法は投資家が公正平等に金融商品についての情報を保障されるための法律なので、完全な違反行為である。

財務データ

資産・負債・収益・費用・現金などの財の収支に関するデータ。会社に関しては財務諸表などで公開される。

財務諸表

貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書からなる企業の財務状況を示す書類。日本ならEDINETなどで電子公開されている。

貸借対照表

企業の資産と負債の収支状況を示す財務諸表の一つ。Balance Sheet 、通称BS。

損益計算書

企業の収益と費用の収支状況を示す財務諸表の一つ。Profit and Loss Statement、通称PL。

キャッシュフロー計算書

企業の現金の収支を示す財務諸表の一つ。Cash Flow Statement、通称CF。

期待収益率(要求収益率)

その資産を所持することによって将来得られるであろうリターンのこと。これを推定するには、過去の収益率を平均したり、過去のリスクプレミアムの平均を現在のリスクフリーレートに足し合わしたりする方法がある。

株主資本コスト

会社側が株主側から要求されている株式の収益率。これは期待収益率を会社側から見たものであり、期待収益率と同質である。これを推定するには、CAPMやFama-Frenchの3ファクターモデルが使われる。

CAPM

株主資本コストの推定方法。株主資本コストをr、リスクフリーレートをf、マーケットリスクプレミアムをmとすると、$$r=f+βm$$

***随時更新していきます。